経口補水液について知っておきたいこと5選【脱水症状・熱中症対策】

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経口補水液について知っておきたいこと5選【脱水症状・熱中症対策】

「今年の夏も猛暑が予想される…」

「熱中症対策は万端だけど、経口補水液ってどう使うのが正解?」

近年、毎年のように記録的な暑さが続き、熱中症による救急搬送者数は増加傾向にあります。熱中症対策として、家庭で経口補水液を備えている方も多いのではないでしょうか?しかし、経口補水液は、ただの水分補給ドリンクではありません。

「スポーツドリンクと何が違うの?」

「熱中症になったら飲めば大丈夫?」

「普段の水分補給にも使えるの?」

実は、経口補水液には、5つの重要なポイントがあります。この記事では、経口補水液に関するよくある誤解を解き、正しい知識と使い方を解説することで、賢く経口補水液を活用し、熱中症から身を守るためのヒントをご紹介します。

1. 経口補水液は「脱水対策用」の飲み物である

経口補水液は、脱水症状を起こした際に、水と電解質(ナトリウムやカリウムなど)を効率的に補給するために開発された、いわば「脱水対策用」の飲み物です。

脱水症状とは、体内の水分量が不足し、体液の濃度が濃くなってしまう状態です。脱水症状は、下痢や嘔吐、発汗などによって起こります。

経口補水液は、脱水症状の治療に用いる「経口補水療法」で使用される医薬品に近い存在です。

経口補水療法とは?

経口補水療法は、下痢や嘔吐による脱水症状を改善するために、経口補水液を用いて水分と電解質を補給する治療法です。世界保健機関(WHO)が提唱しており、特に小児の脱水症状治療に有効とされています。

経口補水液は、脱水症状の治療を目的とした医薬品ではなく、食品に分類されます。しかし、その効果は科学的に裏付けられており、適切な使用は脱水症状の改善に役立ちます。

2. スポーツドリンクとの違いは?

経口補水液は、スポーツドリンクと見た目が似ているため、混同されがちですが、成分に大きな違いがあります。

種類 ナトリウム(mg) カリウム(mg) 糖質(g) その他成分
経口補水液 500~800 100~200 3~5 クエン酸、グルコースなど
スポーツドリンク 50~100 20~50 10~15 ビタミンB群、クエン酸など

経口補水液は、スポーツドリンクと比べて、ナトリウムとカリウムの含有量が約3~4倍多く、糖質は少ないのが特徴です。

なぜナトリウムとカリウムが多く含まれているのか?

脱水症状を起こすと、体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も失われてしまいます。これらの電解質は、体内の水分バランスや神経伝達、筋肉の収縮など、様々な生命活動に不可欠な役割を担っています。

経口補水液は、脱水によって失われた電解質を効率的に補給することで、体の機能を正常に戻す効果が期待できます。

スポーツドリンクは運動中の水分補給に最適

一方、スポーツドリンクは、運動中の発汗によって失われた水分と電解質を補給することを目的としています。

運動時は、大量の汗をかき、ナトリウムやカリウムだけでなく、糖質も消費されます。スポーツドリンクは、これらの成分を効率的に補給することで、運動中のパフォーマンス維持や疲労回復をサポートします。

3. 普段の水分補給には向かない

経口補水液は、脱水状態にある人が、水と電解質を効率的に補給するために作られています。そのため、普段の水分補給には適していません。

健康な人が経口補水液を日常的に飲むと、ナトリウムやカリウムの過剰摂取となり、高血圧や心臓病などのリスクが高まる可能性があります。

普段の水分補給には、水を飲もう!

健康な人が普段の水分補給をする場合は、水を飲むのが一番です。水は、体内に吸収されやすく、電解質のバランスを大きく乱すこともありません。

ただし、夏場など汗を多くかく場合は、水だけでは電解質が不足する可能性があります。そのような場合は、スポーツドリンクやイオン飲料を適度に摂取することで、電解質のバランスを保ちましょう。

4. 食事制限がある場合は注意が必要

腎臓病など、ナトリウムやカリウムの摂取量を制限されている方は、経口補水液を飲む際は、医師に相談が必要です。

経口補水液は、ナトリウムやカリウムを多く含んでいるため、摂取制限がある方が無制限に飲むと、健康状態が悪化する可能性があります。

医師の指示に従って、適切な水分補給を

医師から食事制限を指示されている場合は、経口補水液の使用についても必ず医師に相談し、指示に従って適切な水分補給を行いましょう。

5. 熱中症の際に飲む場合は注意が必要

脱水を伴う熱中症に効果がある経口補水液もありますが、すべての経口補水液が熱中症に効果があるわけではありません。

熱中症の症状が重い場合は、経口補水液よりも、医療機関を受診することが重要です。

熱中症の症状が悪化したら、すぐに医療機関へ

熱中症は、軽度から重度まで症状の程度が異なります。軽度の症状であれば、休息や水分補給で回復するケースもありますが、重度の症状になると意識障害や呼吸困難などの命に関わる症状が現れる場合があります。

熱中症の症状が悪化した場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

経口補水液の正しい使い方

経口補水液を正しく使うために、以下の点に注意しましょう。

  • 脱水症状を起こしている場合のみ使用しましょう。
  • パッケージの表示をよく確認し、用法・用量を守って使用しましょう。
  • 医師や薬剤師に相談し、自分に合った経口補水液を選びましょう。
  • ナトリウムやカリウムの摂取量を制限されている方は、医師に相談しましょう。
  • 熱中症の症状が重い場合は、経口補水液よりも、医療機関を受診しましょう。

まとめ

経口補水液は、脱水症状を起こした際に、水と電解質を効率的に補給できる便利なアイテムです。しかし、普段の水分補給には適しておらず、使用には注意が必要です。

この記事で解説した5つのポイントを理解し、経口補水液を正しく使用することで、健康的な水分補給を実現しましょう。

熱中症対策は、水分補給だけでなく、こまめな休憩や適切な服装なども重要です。

熱中症予防のポイント

  • こまめな水分補給:喉が渇く前に、こまめに水分を補給しましょう。
  • 適切な服装:通気性の良い、体にフィットしすぎない服装を選びましょう。
  • 日差しを避ける:帽子や日傘を活用し、直射日光を避けましょう。
  • 激しい運動は控えましょう:特に気温が高い時間帯は、激しい運動は避け、涼しい時間帯に活動しましょう。
  • 体調が悪い場合は無理をせず休息しましょう:少しでも体調が悪いと感じたら、無理をせず休息し、水分を十分に摂りましょう。

熱中症になったら?

  • 涼しい場所に移動しましょう。
  • 衣服を緩め、体を冷やしましょう。
  • 水分を補給しましょう。
  • 症状が改善しない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

最後に

経口補水液は、使い方を誤ると健康を害する可能性もあります。正しく理解し、適切に使用することで、熱中症対策に役立ちます。

熱中症は、適切な対策を講じることで予防できます。この記事を参考に、安全に楽しい夏を過ごしましょう。