【3つのキーワードで解説!】高齢者の健康を守る!ロコモ、フレイル、サルコペニアの関係と予防法

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【3つのキーワードで解説!】高齢者の健康を守る!ロコモ、フレイル、サルコペニアの関係と予防法

「いつまでも若々しく健康でいたい」「いつまでも自分の足で歩きたい」「いつまでも趣味を楽しみたい」

そう願う方は多いのではないでしょうか?しかし、加齢とともに、体の機能は少しずつ衰えていきます。

「最近、疲れやすい」「階段の上り下りがつらい」「以前より歩くのが遅くなった」

そんな悩みをお持ちの方も多いかもしれません。これらの症状は、高齢者に多く見られるロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアといった状態と関係している可能性があります。

この記事では、これらの状態について詳しく解説するとともに、特にサルコペニア予防に焦点を当て、健康的な老後を送るためのヒントをご紹介します。

ロコモティブシンドローム:運動器の衰えが招くリスク

ロコモティブシンドロームとは、加齢に伴い、筋肉、骨、関節などの運動器が衰え、身体機能が低下することで、要介護状態や寝たきりになるリスクが高まる状態です。

「ロコモ」とも呼ばれ、近年、高齢者の健康問題として注目されています。厚生労働省は、ロコモティブシンドロームを「運動器の病気」と位置づけ、積極的な予防と対策を呼びかけています。

ロコモティブシンドロームの症状

ロコモティブシンドロームの症状は、以下の通りです。

  • 歩くのが遅くなる: 以前は10分歩けた道のりが、今では15分かかるようになったなど、歩行速度が遅くなる。
  • 階段の上り下りがつらい: 息切れがする、足が重く感じるなど、階段の上り下りが困難になる。
  • 椅子から立ち上がりにくい: 立ち上がるときに、手すりが必要になったり、時間がかかったりする。
  • つまずきやすい: 足元が見えにくくなったり、バランス感覚が悪くなったりして、転倒しやすくなる。
  • 身体が硬直している: 肩や腰が凝り固まっている、体が思うように動かせないなど、身体の柔軟性が低下する。
  • 体重が減っている: 筋肉量が減少し、体重が減ってしまう。

これらの症状は、日常生活に支障をきたし、生活の質を大きく低下させてしまいます。

ロコモティブシンドロームの原因

ロコモティブシンドロームの原因は、以下の通りです。

  • 加齢による筋肉や骨の衰え: 年齢を重ねるにつれて、筋肉量は減少し、骨は脆くなってしまいます。これは、筋肉の合成能力が低下し、分解が促進されるためです。
  • 運動不足: 運動不足は、筋肉量の減少を加速させ、骨の強度を低下させます。運動不足によって、筋肉が衰え、骨への負荷が減ることで骨密度が低下するためです。
  • 栄養不足: 特にタンパク質やカルシウムの不足は、筋肉や骨の健康を損なう原因となります。タンパク質は筋肉の材料となるため、不足すると筋肉量の減少につながります。カルシウムは骨の材料となるため、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まります。
  • ホルモンバランスの乱れ: 加齢に伴い、成長ホルモンや女性ホルモンの分泌量が減少します。これらのホルモンは、筋肉や骨の維持に重要な役割を果たしているため、分泌量の低下は、運動器の機能低下につながります。
  • 生活習慣病: 糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、運動器の機能を悪化させる可能性があります。これらの病気は、血管を傷つけ、血流を悪化させるため、筋肉や骨への栄養供給を阻害し、機能低下につながります。

ロコモティブシンドロームの予防策

ロコモティブシンドロームは、適切な対策を講じることで予防することができます。

予防策 詳細 根拠
積極的に運動をする 筋力トレーニング、バランス訓練、有酸素運動など、自分の体力に合わせて無理のない運動を習慣化しましょう。 日本整形外科学会: 運動は、筋肉量増加、筋力向上、骨密度増加などに効果がある。
栄養バランスのとれた食事を摂る タンパク質、カルシウムを十分に摂取しましょう。 厚生労働省: タンパク質は筋肉の材料、カルシウムは骨の材料。
適度な体重を維持する 肥満は、関節への負担を増大させます。 日本肥満学会: 肥満は、膝や腰などの関節への負担を増大させる。
定期的に健康チェックを受ける 骨密度検査、体力測定などを行い、自分の体の状態を把握しましょう。 日本骨粗鬆症学会: 骨密度検査は、骨粗鬆症の早期発見に有効。
禁煙する 喫煙は、骨粗鬆症のリスクを高めます。 厚生労働省: 喫煙は、骨の形成を阻害し、骨密度を低下させる。
適度な飲酒 過剰な飲酒は、筋肉や骨の健康を損なう可能性があります。 日本アルコール関連問題学会: 過剰な飲酒は、筋肉や骨の代謝を阻害する。

フレイル:心身機能の低下が招くリスク

フレイルとは、加齢に伴い、身体機能、心身機能、社会参加機能が低下し、要介護状態や寝たきりになるリスクが高まる状態です。

ロコモティブシンドロームは、フレイルの一つの要素として捉えられます。フレイルは、ロコモティブシンドロームに加え、心肺機能、認知機能、免疫力なども低下している状態を包括的に捉えます。フレイルは、ロコモティブシンドロームなどの身体機能の低下に加え、心身の脆弱化、社会参加の制限など、より広範囲な機能低下を指します。

フレイルの3段階

フレイルは、段階的に進行していくと考えられています。

段階 特徴
プレフレイル 軽度の身体機能の低下がみられる状態。例えば、疲れやすさ、歩行速度の低下、体力低下など。
フレイル 身体機能が低下し、日常生活に支障をきたし始める状態。例えば、階段の上り下りが困難、外出が億劫になる、人との交流が減るなど。
フレイルと要介護状態の中間 日常生活動作に支障をきたし、介護が必要となる可能性が高い状態。例えば、食事や着替え、トイレなど、日常生活動作の多くを介助が必要となる。

フレイルの症状

フレイルの症状は、以下の通りです。

  • 身体機能の低下: 筋力低下、体力低下、歩行速度の低下、バランス能力の低下など
  • 心身の脆弱化: 疲労感、倦怠感、食欲不振、睡眠障害、気分の落ち込みなど
  • 社会参加の制限: 外出や活動機会の減少、社会的な孤立など

フレイルの原因

フレイルの原因は、以下の通りです。

  • ロコモティブシンドローム、サルコペニアなど、運動器の機能低下: 筋肉や骨の衰えは、フレイルの大きな原因となります。
  • 栄養不足、睡眠不足、ストレス: これらの要因は、体の免疫力を低下させ、フレイルの進行を促進させる可能性があります。
  • 慢性疾患、認知症: 糖尿病、心臓病、脳卒中などの慢性疾患や認知症は、フレイルのリスクを高めます。

フレイルの予防策

フレイルは、早期に発見し、適切な対策を講じることで、進行を遅らせ、健康的な生活を送ることが可能になります。

予防策 詳細 根拠
運動療法 筋力トレーニング、バランス訓練、有酸素運動など、自分の体力に合わせて無理のない運動を習慣化しましょう。 日本老年医学会: 運動療法は、筋力や体力向上、バランス能力改善に効果があり、フレイルの予防に有効。
栄養療法 バランスの取れた食事を心がけ、十分な水分を摂取しましょう。 厚生労働省: 栄養バランスの乱れは、フレイルのリスクを高める。
社会参加 友人や家族との交流、趣味やボランティア活動など、積極的に社会参加しましょう。 日本社会福祉学会: 社会参加は、心身の健康維持に役立ち、フレイル予防に効果がある。
ストレス管理 睡眠の質を向上させ、リラックスできる時間を取りましょう。 日本ストレス学会: ストレスは、免疫力低下、心身機能低下、フレイルのリスクを高める。

サルコペニア:筋肉量の減少が招くリスク

サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉量が減少し、筋力が低下することで、身体機能が低下する状態を指します。

サルコペニアは、ロコモティブシンドロームやフレイルの原因の一つとして、かなり多く関与すると考えられます。サルコペニアは、筋肉量の減少と筋力低下によって、歩行速度の低下、転倒リスクの増加、体力低下など、様々な身体機能の低下を引き起こします。

サルコペニアの症状

サルコペニアの症状は、以下の通りです。

  • 筋肉量の減少: 加齢に伴い筋肉量が減少し、筋力が低下します。これは、筋肉の合成能力が低下し、分解が促進されるためです。
  • 筋力低下: 日常生活動作や運動能力が低下します。例えば、重い物を持てない、階段の上り下りがつらい、立ち上がりが困難になるなど。
  • 身体機能の低下: 歩行速度の低下、転倒リスクの増加、体力低下など。
  • 生活の質の低下: 日常生活の活動制限、身体的な不自由さ、精神的なストレスなど。

サルコペニアの原因

サルコペニアの原因は、以下の通りです。

  • 加齢: 年齢とともに筋肉の合成能力が低下し、分解が促進されます。
  • 運動不足: 運動不足は、筋肉量の減少を加速させます。
  • 栄養不足: タンパク質不足は筋肉の合成を阻害します。
  • ホルモンバランスの乱れ: 成長ホルモンやテストステロンの分泌量が低下します。
  • 病気: 糖尿病や慢性腎臓病などの病気は、筋肉量の減少を促進します。

サルコペニアの予防策

サルコペニアは、早期に発見し、適切な対策を講じることで、進行を遅らせ、健康的な生活を送ることが可能になります。

予防策 詳細 根拠
筋力トレーニング スクワット、腕立て伏せ、腹筋運動など、自分の体力に合わせて無理のない筋力トレーニングを習慣化しましょう。 日本サルコペニア学会: 筋力トレーニングは、筋肉量増加、筋力向上に効果があり、サルコペニア予防に有効。
タンパク質摂取 肉、魚、卵、大豆製品など、タンパク質を豊富に含む食品を意識して摂取しましょう。 厚生労働省: タンパク質は筋肉の材料であり、不足すると筋肉量の減少につながる。
運動習慣 ウォーキング、ジョギング、水泳など、継続的に体を動かす習慣をつけましょう。 日本体育協会: 運動習慣は、筋肉量維持、体力向上に効果があり、サルコペニア予防に有効。
バランスの取れた食事 ビタミン、ミネラルを豊富に含む食事を心がけましょう。 厚生労働省: 栄養バランスの乱れは、サルコペニアのリスクを高める。
健康的な生活習慣 禁煙、適度な飲酒、十分な睡眠を心がけましょう。 日本医師会: 健康的な生活習慣は、心身全体の健康維持に役立ち、サルコペニア予防に効果がある。

サルコペニア予防が健康的な老後のカギ

ロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアは、高齢者の健康問題として密接に関連しています。

サルコペニアは、ロコモティブシンドロームやフレイルを引き起こす原因の一つであり、サルコペニアを防ぐことは、これらの状態の予防に大きく貢献します。

サルコペニアは、フレイルの進行を促進させる可能性があり、フレイルへと繋がる可能性があります。サルコペニアによって、身体機能が低下し、体力や筋力が衰えると、心身の脆弱化や社会参加の制限につながりやすくなります。

つまり、サルコペニアを防ぐことで、フレイルの発症リスクを抑制できるのです。

筋力トレーニングを習慣化しよう!

筋力トレーニングは、サルコペニア予防に最も効果的な方法の一つです。

筋力トレーニングは、筋肉量を増やし、筋力を強化することで、体の機能を維持し、健康的な生活を長く続けるために非常に重要です。

筋力トレーニングは、自宅でも簡単にできる!

筋力トレーニングは、特別な場所や器具がなくても、自宅でも簡単にできます。

  • スクワット: 椅子から立ち上がる動作を意識して行いましょう。
  • 腕立て伏せ: 壁やテーブルを利用して、無理のない範囲で行いましょう。
  • 腹筋運動: 仰向けに寝て、膝を曲げ、上半身を起こす運動をしましょう。
  • 階段昇降運動: 階段を上り下りすることで、下半身の筋肉を鍛えられます。駅や自宅の階段を積極的に利用しましょう。
  • 普段の生活の中で座っている時間を短くする: 意識的に立ち上がって歩く時間を増やし、活動量を増やしましょう。

これらの運動を毎日、あるいは週に数回行うだけでも、筋肉量増加、筋力向上に効果が期待できます。

筋力トレーニングを始める際の注意点

  • 自分の体力に合った運動を選ぶ: 無理のない範囲から始め、徐々に強度や回数を増やしていきましょう。
  • 正しいフォームで行う: 間違ったフォームで行うと、怪我をしてしまう可能性があります。正しいフォームを意識して行うことが大切です。
  • 運動前にストレッチをする: 運動前にストレッチをすることで、筋肉を温め、怪我のリスクを減らすことができます。
  • 定期的に休息を取る: 筋肉は、運動後も修復と成長を繰り返すため、適切な休息が必要です。

まとめ:健康的な老後を送るために

この記事では、ロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアの関係性と予防について解説しました。

サルコペニア予防は、ロコモティブシンドロームやフレイル予防に繋がる重要な対策です。

筋力トレーニングは、サルコペニア予防に最も効果的な方法の一つです。

今日から、無理のない範囲で筋力トレーニングを始めて、健康的な老後を送りましょう!

この記事が、読者の皆様の健康的な生活に役立てば幸いです。